「世界最大の有機コーヒー輸出国」として知られるペルー。実はメキシコに次いでフェアトレードコーヒーの供給量が世界第2位という、小規模農家とサステナブルな生産が主役の国でもあります。本記事では編集部が、ペルー産コーヒーの豆の特徴・産地・現地の飲み方・定番スイーツを出典とともにご紹介します。
ペルーってどんな国?基本データと産地の特徴
| 正式名称 | ペルー共和国 |
|---|---|
| 首都 | リマ |
| 公用語 | スペイン語(ケチュア語・アイマラ語なども公用語) |
| コーヒー生産量 | 世界第11位クラス(2019年時点)の生産国(出典:山口的おいしいコーヒーブログ) |
| 主な産地・標高 | アマゾナス県・カハマルカ県・サンマルティン県・フニン県・クスコ県など、標高1,600m以上のアンデス山麓(出典:コーヒー豆研究所) |
ペルーは南米大陸の太平洋岸に位置し、西のコスタ(海岸砂漠地帯)、中央のシエラ(アンデス山岳地帯)、東のセルバ(アマゾン熱帯雨林)という3つの気候帯を持つ国です。コーヒーはこのうちシエラからセルバにかけての山麓斜面で栽培され、1700年代のスペイン植民地時代に栽培が始まったとされています(出典:クロヒゲコーヒー)。
ペルー産コーヒー豆の特徴——小規模農家が支える有機栽培
ペルーには約22万世帯のコーヒー農家があり、その85%が3ha以下の小規模農園です。多くが機械に頼らず手作業で栽培・収穫を行っており、この小規模生産の構造が結果的に有機栽培比率の高さにつながっています(出典:kinan philosophy)。
- 品種:ティピカ、ブルボン、カトゥーラなど、地域ごとに異なる品種が栽培されている(出典:コーヒー豆研究所)
- 栽培方法:ミネラル豊富な有機肥料を用いたオーガニック栽培が主流で、世界最大の有機コーヒー輸出国として知られる(出典:コーヒー豆研究所)
- 風味:ナッツやチョコレート、キャラメルを思わせる香ばしさと、クリーンで穏やかな酸味、すっきりとした後味が特徴(出典:COFFEE TOWN)
世界最大の有機コーヒー輸出国というブランド
ペルーはフェアトレード認証コーヒーの供給量でメキシコに次ぐ世界第2位を誇ります。標高が高く冷涼な気候で、農薬に頼らずとも病害虫の被害が比較的少ないアンデスの環境が、小規模農家による有機栽培を後押ししてきました(出典:kinan philosophy)。2010年にはアメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)のカッピングコンペティションで1位を獲得するなど、品質面でも国際的な評価を高めています(出典:クロヒゲコーヒー)。近年はカハマルカ県やサンマルティン県を中心に、農協(コーポラティブ)単位でのマイクロロット生産や海外バイヤーとの直接取引も広がっており、スペシャルティコーヒーの新たな産地としても注目されています。
焙煎度別・ペルー産コーヒー豆の楽しみ方
| 焙煎度 | 味わいの傾向(一般的な評価) | おすすめの飲み方 |
|---|---|---|
| 浅煎り〜中煎り | クリーンな酸味とナッツ系の香ばしさが引き立つとされる | ハンドドリップですっきりと |
| 中深煎り | キャラメルやチョコレートのようなコクが感じられるとされる | ミルクを合わせても |
| 深煎り | 穏やかな苦みと落ち着いたボディ感が出るとされる | アイスコーヒーやカフェオレに |
クセが少なく飲みやすい豆のため、浅煎り〜中煎りで豆本来のクリーンな酸味を楽しむのが定番です。淹れ方の基本はコーヒーの淹れ方完全ガイドで解説していますので、あわせてご覧ください。
現地のコーヒー文化——「カフェ・パサード」という独特の飲み方
ペルーのカフェでは、お湯だけが入ったカップと、非常に濃く抽出されたコーヒーエキス(カフェ・パサード)が小瓶に入って一緒に運ばれてくるのが一般的なスタイルです。お湯の量を調整しながら自分好みの濃さに薄めて飲みます(出典:COFFEE TOWN)。このコーヒーエキスは、通常通りに豆を挽いてドリッパーにセットし、蒸らし後1分30秒〜2分ほどで抽出したごく濃いコーヒー液を使って作られるとされています(出典:COFFEE TOWN)。良質な豆の多くが輸出に回されてきた歴史的経緯もあり、国内では長らくインスタントコーヒーが主流でしたが、近年はリマを中心に自国産の豆を扱うスペシャルティカフェも増えています。
ペルーの定番スイーツとコーヒーペアリング
ピカロネス(Picarones)
カモテ(オレンジ色のサツマイモ)とサパージョ(カボチャ)を混ぜた生地を輪の形に揚げ、チャンカラ(サトウキビの蜜)をたっぷりかけたペルー版ドーナツ。スペイン副王領時代に生まれたスイーツとされ、屋台の定番として親しまれています(出典:Wikipedia「ピカロネス」)。もちもちとした食感と蜜の甘さが、クリーンな酸味のペルー産コーヒーとよく合います。
スシーロ・ア・ラ・リメーニャ(Suspiro a la Limeña)
「リマ娘のため息」という意味を持つ、ペルーを代表するデザート。キャラメルのような濃厚なクリームの上にメレンゲをのせた非常に甘い一品で、聖週間などの行事でもよく食べられます(出典:TapTrip)。濃厚な甘さには、香ばしさのある中深煎りのコーヒーがよく合います。
マサモラ・モラダ(Mazamorra Morada)
紫トウモロコシ(マイス・モラード)をパイナップルの皮やシナモン、リンゴなどと一緒に煮出し、片栗粉でとろみをつけたペルーの国民的デザート。抗酸化成分を含む紫トウモロコシを使った、健康志向のスイーツとしても知られています(出典:ペルートラベルクラブ)。
ペルー産コーヒーの選び方
| タイプ | 味の傾向 | おすすめの人 |
|---|---|---|
| 有機JAS認証豆 | クリーンな酸味とやさしい甘さ | 体にやさしい豆を選びたい人 |
| カハマルカ産・高地栽培 | ナッツ・チョコレートの香ばしさとバランスの良さ | 飲みやすい一杯を探している人 |
| フェアトレード認証豆 | 穏やかなコクとすっきりした後味 | 生産者を応援しながら飲みたい人 |
豆選びに迷ったら、まずは有機JAS認証のカハマルカ産・中煎りから試すのが定番です。産地ごとの品種や精製方法の基礎はコーヒーの産地・品種完全ガイド、他の産地との比較は世界のコーヒー産地マップで確認できます。
よくある質問
Q. ペルー産コーヒーはなぜ有機栽培が多いのですか?
A. 農家の85%が3ha以下の小規模農園で、機械に頼らず手作業で栽培していることに加え、標高が高く冷涼なアンデスの環境が病害虫の被害を抑えやすいことが背景にあるとされています。結果として世界最大の有機コーヒー輸出国となっています。
Q. 「カフェ・パサード」とはどんな飲み方ですか?
A. 非常に濃く抽出したコーヒーエキスを小瓶で提供し、お湯で好みの濃さに薄めて飲むペルー独特のスタイルです。カフェではお湯とエキスが別々に運ばれてきます。
Q. ペルー産コーヒーはどんな味わいですか?
A. ナッツやチョコレート、キャラメルを思わせる香ばしさと、クリーンで穏やかな酸味、すっきりとした後味が特徴とされています。クセが少なく飲みやすい豆です。
Q. フェアトレードコーヒーとは何ですか?
A. 生産者が持続的に生産を続けられるよう、公正な価格や取引条件を保証する認証制度です。ペルーはメキシコに次ぐ世界第2位のフェアトレードコーヒー供給国とされています。
まとめ|編集部コメント
小規模農家の手作業と、アンデスの冷涼な気候が育む有機栽培。ペルーは「量より質」と「サステナビリティ」を体現するコーヒー産地です。ナッツやキャラメルを思わせる香ばしさとクリーンな酸味は、日々の一杯にも取り入れやすいバランスの良さがあります。他の産地との違いは世界のコーヒー産地マップから、産地・品種の基礎知識はコーヒーの産地・品種完全ガイドもあわせてご覧ください。
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ペルーと同じ中南米の産地ではホンジュラスのコーヒー完全ガイドやコロンビアのコーヒー完全ガイド、東アフリカではタンザニアのコーヒー完全ガイドもあわせてどうぞ。産地ごとの味わいの違いを比べると、豆選びがぐっと楽しくなります。
この記事について
執筆:TANY(タニー)。ホームカフェ歴15年。国内外100種類以上のスペシャルティコーヒー豆と、20種類以上の抽出器具を実際に使ってきた経験をもとに、産地ごとの個性や自宅での楽しみ方を解説しています。産地の風味傾向は各国の生産情報・公的統計にもとづく一般的な傾向として紹介しており、特定ロットの実飲を断定するものではありません。
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