2026年7月も最終週となり、コーヒー業界では需給見通し・企業の身売り観測・研究発表・国内の新商品と、幅広いジャンルでニュースが動きました。編集部が今週特に注目したトピックを、国内外あわせて8本に絞ってお届けします。それぞれ一次情報・専門メディアの報道をもとにまとめていますので、業界動向を手早くキャッチアップしたい方はぜひ参考にしてください。
1. USDA、2026/27年度の世界コーヒー生産量が過去最高になると予測
米農務省(USDA)は7月21日、2026/27年度の世界のコーヒー生産量が前年度比6%増の1億8,966.7万袋(60kg換算)と、過去最高を記録するとの見通しを発表しました。品種別ではアラビカ種が12.1%増の1億586.7万袋と過去最高を更新する一方、ロブスタ種は0.7%減の8,380万袋とわずかに減少するものの、過去2番目の高水準を維持する見込みです。国別ではブラジルが前年度比14.1%増の7,190万袋と大幅な増産を見込むほか、ベトナム・エチオピア・ウガンダも豊作が見込まれています。輸出量も8.9%増の1億5,890万袋、消費量も1億7,970万袋と、いずれも過去最高となる見通しです。生産国ごとの気候や品種の違いが今後の相場をどう左右するか、産地の特徴を押さえておくと動向を理解しやすくなります。産地ごとの詳細はコーヒーの産地・品種完全ガイドで解説しています。
出典:Comunicaffe「USDA: World coffee production to reach record levels in 2026/27」
2. アラビカ相場は反発、ブラジルの収穫遅れが引き続き重荷に
ICEのアラビカ先物(9月限)は7月27日に前日比3.4%高となる324.55セントまで上昇し、月内高値を更新しました。背景には、ブラジル最大級の生産者協同組合コシュポ(Cooxupe)が7月24日時点で収穫進捗率58.3%と発表したことがあります。前週の47.3%からは進んだものの、前年同期の67.1%には依然として遅れている状況です。ブラジル・コーヒーベルトでは平年を大きく上回る降雨が続いており、収穫作業の遅れと品質面への影響が懸念されています。豆の鮮度を保つ保存のコツはコーヒー豆の保存方法完全ガイドで解説していますので、あわせてご覧ください。ブラジルの豆の特徴はブラジルのコーヒー完全ガイドもご参考に。
出典:Trading Economics「Arabica Coffee Market Faces Oversupply Pressure」、ICE先物市場データ
3. イタリアの大手コーヒー企業マッシモ・ザネッティに身売り観測、最大12億ユーロ規模
イタリアのコーヒー大手マッシモ・ザネッティ・ベバレッジ・グループ(セガフレード・ザネッティなどを展開)を巡り、BC Partners、CVC、アドベント、ブラックストーンなど6つの投資ファンドが予備的な買収提案を提出したことが明らかになりました。買収額は最大12億ユーロ規模になるとみられ、創業家のマッシモ・ザネッティ氏も「条件が合えば自身の保有株も売却する」との考えを示しています。同社は世界110以上の国・地域で事業を展開し、40以上のコーヒー・紅茶ブランドを保有する業界大手だけに、成立すればコーヒー業界の勢力図に影響を与える可能性があります。ロースター起業やコーヒービジネスの動向に関心のある方はコーヒーをビジネスに2026も参考にしてみてください。
4. コロンビア、5月の生産量が前年同月比29%増も年間ベースでは依然マイナス
コロンビア・コーヒー生産者連合会(FNC)によると、5月の生産量は約106万袋と前年同月比29%増となり、数か月続いた減少傾向にひとまず歯止めがかかりました。ただし年初来累計では427万袋と前年の530万袋を19%下回っており、直近12か月間の生産量も1,264.5万袋と前年から14%減少しています。背景には2025年第4四半期から続く多雨による生育不良がありますが、2026/27年度は天候の回復を前提に7.2%増の1,340万袋まで持ち直すと予測されています。コロンビア産の豆の特徴はコロンビアのコーヒー完全ガイドでまとめています。
出典:StoneX「Colombia’s Coffee Production Rises 29% in May, Ending Months of Declines」
5. FAOと国際コーヒー機関(ICO)、持続可能なコーヒー産業へ向け提携を更新
国連食糧農業機関(FAO)と国際コーヒー機関(ICO)は7月16日、ローマで覚書(MOU)に署名し、2004年から20年以上続く協力関係を更新しました。FAOのチュー・ドンユー事務局長は、市場の透明性向上や国際協力の強化を通じて、より効率的で強靭かつ持続可能な世界のコーヒー産業を目指す姿勢を強調しています。気候変動やフェアトレードを巡る課題が指摘され続けるなかで、国際機関同士の連携がどこまで生産現場の実情改善につながるかが注目されます。農家を取り巻く現実やサステナビリティの課題はコーヒーとサステナビリティ2026で詳しく解説しています。
出典:FAO「Director-General highlights renewed FAO-ICO partnership for a sustainable coffee sector」
6. コーヒーの「苦味」を感じる仕組みを解明する新研究、米大学が発表
米ノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究チームが7月29日、コーヒーの苦味を感知する仕組みに関する新たな研究成果を発表しました。ヒトの苦味受容体「TAS2R43」が、焙煎・抽出されたコーヒーに含まれるカフェインなどの化合物をどのように認識しているかを解析したもので、同じ豆・同じ淹れ方でも苦味の感じ方に個人差が生まれる理由の一端を示す内容です。コーヒーと健康・味覚を巡る研究は近年活発化しており、編集部でも継続してウォッチしていきます。科学的に裏付けられたコーヒーの効果については科学が証明するコーヒーの健康効果5選もあわせてご覧ください。
出典:Daily Coffee News「New Research Digs Into the Bitter Truth About Coffee」
7. ヴィクトリア・アルドゥイーノ、カウンター一体型の新型エスプレッソマシン「Record」を発表
イタリアの老舗エスプレッソマシンメーカー、ヴィクトリア・アルドゥイーノは7月29日、業務用マシンの新モデル「Record」を発表しました。カウンターの上に完全に据え置くことも、下部に一部を埋め込むこともできる設計が特徴で、店舗のカウンターレイアウトに合わせた柔軟な設置を可能にしています。国内でも本格的なエスプレッソを自宅で楽しみたいという需要が広がっており、業務用機の技術トレンドは家庭用マシン選びの参考にもなります。ご家庭でのマシン選びはエスプレッソマシン選び方完全ガイドで解説しています。
出典:Daily Coffee News「Victoria Arduino Introduces Record, a New Take on Undercounter Espresso」
8. 国内:スタバ日本上陸30周年で「クリア コーヒー」「シトラス クリア コーヒー」登場
スターバックス コーヒー ジャパンは7月31日、日本上陸30周年を記念し、若者との共創から生まれた新作コーヒー「クリア コーヒー」「シトラス クリア コーヒー」を発売しました。苦味や後味への不安から普段コーヒーを飲まない人にも楽しんでもらえるよう、苦さを抑えた飲み口に仕上げているのが特徴です。価格はTallサイズのみでそれぞれ持ち帰り481円・579円(税込)。海外では規制・M&Aのニュースが目立った一週間でしたが、国内では季節・記念企画の話題が続いています。淹れ方や豆選びの基本をおさらいしたい方はコーヒーの淹れ方完全ガイドもご覧ください。
出典:スターバックス ストーリーズ「スターバックス、若者との共創で開発した新作『クリア コーヒー』2種を7月31日発売」
まとめ:来週の注目ポイント
今週は、USDAによる過去最高の増産予測という需給面の大きな話題に加え、マッシモ・ザネッティの身売り観測という業界再編の動き、そしてFAOとICOの提携更新やコーヒーの味覚に関する新研究など、多面的なニュースが並びました。来週は、ザネッティの買収交渉の進展や、ブラジルの収穫進捗が9月限の相場にどう影響するか、国内では夏本番に向けたアイスドリンクの追加情報などが注目されます。編集部では引き続き、国内外のコーヒー業界の動きを継続してウォッチし、皆さまの豆選び・お店選びに役立つ情報をお届けしていきます。産地による味わいの違いが気になる方は世界のコーヒー産地マップも参考にしてみてください。
