結論から言うと、ベトナムコーヒーは「フィン(phin)」という金属フィルターに深煎りのロブスタ豆を約15g入れ、95℃前後のお湯を120〜150mlかけて4〜7分ほどで落としきり、練乳を大さじ1〜2杯混ぜるだけで、本場の濃厚な一杯が再現できます。特別な技術はいりません。この記事では、フィンの各部の名前から粉量・蒸らし・練乳の割合、落ちが速い/遅いときの調整、アイス(カフェスアダ)や本場アレンジまで順番に解説します。
ベトナムコーヒーとは?——ロブスタ×深煎り×練乳の濃厚な一杯
ベトナムはブラジルに次ぐ世界第2位のコーヒー生産国で、その生産のほとんど(2025/26年度は約96%)をロブスタ種が占めます。2025/26年度の生産量は天候の回復もあり約3,080万袋に達する見通しです(出典:VOV/Daily Coffee News, 2025)。
ロブスタはアラビカより苦味とコク、カフェインが強いのが特徴です。ベトナムではこのロブスタを深く焙煎し、濃く抽出したコーヒーに練乳(コンデンスミルク)を合わせる飲み方が定着しました。かつて生乳の流通が難しかった歴史的背景から、保存のきく練乳が使われるようになったといわれます。豆の産地としての詳しい特徴はベトナムのコーヒー完全ガイドで解説しています。
フィン(cà phê phin)の構造と各部の名前
フィンはステンレス製が主流の一人用ドリッパーで、次の4つのパーツからできています。
- 抽出カップ(本体):底に細かい穴が開いた器。ここに粉を入れます。
- 押さえ蓋(インサート):粉の上にのせる中蓋。上から軽く圧をかけて抽出速度を整えます。ネジ式・重し式・平板式があります。
- フタ:保温と蒸らしのために使います。
- 受け皿:抽出後にフィンを置くための皿。
用意するもの(1杯分)
- フィン(なければペーパードリップやフレンチプレスで代用可)
- 深煎りのコーヒー粉 約15g(中細〜中挽き)
- 95℃前後のお湯 120〜150ml
- 練乳(コンデンスミルク)大さじ1〜2
- 耐熱グラス/アイスにするなら氷をたっぷり
| 杯数 | 粉量の目安 | お湯 | 練乳 |
|---|---|---|---|
| 1杯(濃いめ) | 約15g | 120〜150ml | 大さじ1〜2 |
| 2杯 | 約28〜30g | 240〜280ml | 大さじ2〜3 |
基本の淹れ方(ホット)7ステップ
- フィンとグラスを湯通しして温めておく。
- グラスの底に練乳を先に入れる(甘さは後で混ぜて調整)。
- フィンに粉を入れ、トントンと軽く揺すって表面を水平にならす。
- 押さえ蓋をそっとのせる。強く押しすぎると詰まって落ちなくなるので軽くでよい。
- 蒸らし:お湯を20〜30mlだけ注ぎ、30〜45秒待つ。粉全体が膨らむ。
- 残りのお湯を注いでフタをし、4〜7分かけてゆっくり落としきる。
- 抽出が終わったら、底の練乳とコーヒーをよく混ぜて完成。
基本の手順は国内ロースターやメーカーの解説とも共通です(参考:UCC/コーヒーステーション)。
アイス(カフェスアダ/cà phê sữa đá)にする
ベトナムで最も定番なのが、氷を入れた冷たい練乳コーヒー「カフェスアダ」です。作り方は簡単で、練乳と混ぜたホットのコーヒーを、氷をたっぷり入れたグラスに注ぐだけ。氷で薄まることを前提に、粉をやや多めにして濃いめに淹れておくと、溶けても味がぼやけません。
練乳・砂糖の割合早見表(甘さ調整)
| 飲み方(現地名) | 練乳の目安 | 味わい |
|---|---|---|
| ブラック(cà phê đen) | なし(砂糖少々) | ロブスタの苦味・コクをそのまま |
| 練乳入り(cà phê sữa) | 大さじ1 | ほろ苦さと甘さのバランス |
| しっかり甘い | 大さじ2 | デザート感覚の濃厚な甘さ |
うまく落ちない・落ちが速すぎるときの調整
フィンは押さえ蓋の圧と挽き目で抽出速度が変わります。目安の落ちきり時間(4〜7分)から大きく外れたら次のように調整します。
- 落ちが速すぎる(3分未満・味が薄い):挽き目を少し細かくする/粉を増やす/押さえ蓋の圧をやや強める。
- 落ちが遅すぎる(詰まって出ない):挽き目を粗くする/粉を減らす/押さえ蓋を軽くする。
挽き目の調整には均一に挽けるミルが役立ちます。選び方はコーヒーミルの選び方完全ガイドを参考にしてください。
豆と焙煎の選び方
本場の味に近づけるなら、深煎りのロブスタ主体、またはロブスタとアラビカを合わせたベトナムブレンドが向いています。ベトナムではバターやチコリで風味づけした焙煎豆も伝統的に使われます。深煎りの特徴はコーヒー焙煎度完全ガイド、産地・品種の全体像はコーヒーの産地・品種完全ガイドで確認できます。
本場のアレンジも楽しい
フィンで淹れた濃いコーヒーは、アレンジの土台にもぴったりです。ハノイ発祥のエッグコーヒー(cà phê trứng)は卵黄と練乳を泡立ててのせた一杯。ほかにもヨーグルトコーヒー、ココナッツコーヒー、フエ地方の塩コーヒーなど、地域ごとの飲み方があります。淹れ方全体を見比べたい人はコーヒーの淹れ方完全ガイドもどうぞ。
よくある質問(FAQ)
Q. フィンがなくても作れますか?
A. はい。ペーパードリップやフレンチプレスでも代用できます。ただし本場ほどの濃度は出にくいので、深煎りの粉を通常より多めにして濃く抽出し、練乳で調整すると近づきます。
Q. どんなコーヒー豆を使えばいいですか?
A. 深煎りのロブスタ主体、またはロブスタとアラビカを合わせたベトナムブレンドがおすすめです。苦味とコクが強いほど練乳との相性が良くなります。
Q. 練乳の量の目安は?
A. 1杯あたり大さじ1〜2が目安です。まずは大さじ1から始め、好みに合わせて増やしてください。アイスは氷で薄まるぶん、やや多めが合います。
まとめ
ベトナムコーヒーは、フィンに深煎りロブスタ約15g、95℃の湯120〜150ml、練乳大さじ1〜2という3つの数字さえ押さえれば、自宅で手軽に本場の味を楽しめます。落ちきり時間を目安に押さえ蓋と挽き目を微調整し、暑い日はカフェスアダ、余裕があればエッグコーヒーにも挑戦してみてください。
この記事について
えらびログ編集部|コーヒーの淹れ方・器具・豆の選び方を、メーカーや専門機関の公開情報にもとづいて紹介しています。味の断定や体験の脚色は行わず、出典を明記する方針です。詳しくは運営者情報・編集方針をご覧ください。
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