2026年7月も第4週に入り、コーヒー業界では相場・規制・世界大会・企業再編と、幅広いジャンルで動きがありました。編集部が今週特に注目したトピックを、国内外あわせて8本に絞ってお届けします。それぞれ一次情報・専門メディアの報道をもとにまとめていますので、業界動向を手早くキャッチアップしたい方はぜひ参考にしてください。
1. アラビカ相場は乱高下から様子見へ ― ブラジルの大雨が発端
7月上旬、ブラジル・ミナスジェライス州での大雨により収穫作業が滞ったことを受け、ニューヨーク先物市場のアラビカ7月限が1日で48セント超上昇するという記録的な値動きを記録しました。その後、7月限の期限を控えて商いは薄くなり、市場は次第に方向感を欠く展開に。9月限への切り替えを経て、今後の値動きが改めて注目されます。家庭用の豆をストックする場合は、こうした相場変動のタイミングも意識しておくとよいでしょう。保存方法についてはコーヒー豆の保存方法完全ガイドで詳しく解説しています。
出典:Perfect Daily Grind「Coffee News Recap, 10 Jul」、StoneX「Daily Coffee Report」(7/20)
2. EU森林破壊防止規則(EUDR)にインスタントコーヒーが追加
欧州委員会は7月13日、EUDR(EU森林破壊防止規則)の対象品目にインスタントコーヒー(可溶性コーヒー)を加える委任法を採択しました。これまでレギュラーコーヒーは規制対象でありながら、抽出物・エッセンス・濃縮物を含む可溶性コーヒーは対象外という状態が続いていましたが、「EU域外で加工・包装した製品を無審査のまま域内に持ち込める」抜け穴を塞ぐ狙いです。適用開始は2027年12月30日で、大手・中堅事業者に対する本則の適用開始(2026年12月30日)よりやや遅れて施行される見込みです。原料調達のトレーサビリティが一段と重視される流れは、今後日本の輸入・製造事業者にも波及する可能性があります。
出典:Daily Coffee News「European Commission Adds Soluble Coffee to EUDR Product List」
3. Global Coffee Awards アジア版、台湾のロースターが総合優勝
6月にアジア地区の審査(産地から届いたサンプルは米サウスカロライナ州で審査)が行われたGlobal Coffee Awardsの結果が発表され、台湾・台北を拠点とするAll Day Roasting Companyが総合優勝を果たしました。最高得点はフィルター・シングルオリジン実験部門の「ストロベリーチーズケーキ カトゥーラ カルチャードイースト処理」。このほか香港のoma Coffee Roaster、インドネシアのPT. Kopi Kina、タイのAddicto Coffeeも上位入賞を果たし、アジア産スペシャルティコーヒーの層の厚さを印象づける結果となりました。産地ごとの特徴は世界のコーヒー産地マップでも比較できますので、あわせてご覧ください。
出典:Perfect Daily Grind「Global Coffee Awards crown the best roasters in Asia」
4. 世界のコーヒーチェーンで再編・資金調達が相次ぐ
World Coffee Portalの週次まとめ「The Week in Coffee, 13-19 July」によると、ベトナムのスペシャルティコーヒー運営Every Halfが既存投資家から追加出資を獲得し、ホーチミン・ハノイでの出店拡大や生産者・協同組合との連携強化に充てる計画です。一方、米国ではJABホールディングス傘下のPanera Breadが、看板サービスの一つ「Unlimited Sip Club(飲み放題サブスク)」の内容を8月から縮小する方針を発表。2028年までに70億ドルの売上を目指すターンアラウンド戦略の一環とされています。このほか、英国の機能性コーヒーブランドReformedが2,200万ドルを調達して米国市場参入を目指すこと、インドのBlue Tokaiが中東に初出店したこと、スペインのCafentoがアイルランドの焙煎会社を追加買収したことも報じられ、世界のコーヒービジネスは拡大と再編が同時進行している状況がうかがえます。
出典:World Coffee Portal「The Week in Coffee, 13-19 July 2026」
5. エチオピア政府、生産量倍増・輸出60億ドルを掲げる5カ年戦略
世界最大級のアラビカ原産地であるエチオピアの政府は、農業省での協議フォーラムを経て、今後5年でコーヒー生産量を倍増させ、輸出収入を2031年までに60億ドルへ引き上げる国家戦略を承認しました。平均単収は1ヘクタール当たり900kgから2,100kgへの引き上げを目指すとしています。背景には、2025/26年度に過去最高となる30億ドル超の輸出収入を記録したことがあります。原産国の増産計画は、国際相場や産地ごとの供給バランスにも影響を与える可能性があり、今後の動向が注目されます。エチオピアの豆の特徴はエチオピアのコーヒー完全ガイドで解説しています。
出典:Further Africa「Ethiopia Coffee Exports Hit Record US$3bn as Government Targets US$6bn by 2031」
6. スウェーデンの大手カフェチェーン「Wayne’s Coffee」が破産
スウェーデンで人気のカフェチェーン、Wayne’s Coffeeのフランチャイズ本部が破産しました。複数店舗の賃料未払いが本部の債務超過につながったとされ、負債額は少なくとも1,000万スウェーデンクローナにのぼるといいます。ブランド運営自体は別会社が引き継ぐ見通しで、既存フランチャイズ店舗への直接的な影響は限定的とされていますが、筆頭株主は「物価高によるコスト増と消費者の購買力低下の板挟みになっていた」と説明しています。原材料高・人件費高が世界的にカフェ経営を圧迫している実例のひとつといえそうです。
出典:World Coffee Portal「Waynes Coffee files for bankruptcy in Sweden as cost pressures mount」
7. 国内:スターバックス ジャパンが夏の新作フラペチーノ3種を発売
海外では規制・M&Aのニュースが目立った一週間でしたが、国内では季節の話題も。スターバックス コーヒー ジャパンは7月22日、「ぎゅぎゅっと オレンジ&マンゴー フラペチーノ」を含む夏季限定フラペチーノ全3種、および新作グラニータを発売しました。外出先で季節の一杯を楽しむのはもちろん、暑い時期は自宅でも冷たいコーヒードリンクを楽しみたいところ。おうちでのアイスドリンク作りはコーヒーの淹れ方完全ガイドもあわせてチェックしてみてください。
出典:るるぶ&more.「スタバ新作まとめ【2026年7月】」
8. 米FDA、カフェイン表示に関する新指針を検討
米食品医薬品局(FDA)が、飲料のカフェイン含有量表示に関する新たなガイダンス策定を検討していることが報じられました。具体的な表示様式や義務化の範囲は今後の議論次第ですが、実現すればコーヒー飲料やエナジードリンクなどのパッケージ表示に影響が及ぶ可能性があります。消費者にとってはカフェイン量を確認しやすくなるメリットが期待される一方、事業者側には表示対応のコストも発生しそうです。続報が入り次第、編集部でもフォローしていきます。
出典:Perfect Daily Grind「Coffee News Recap, 3 Jul」
まとめ:来週の注目ポイント
今週は、相場の乱高下(アラビカ9月限への切り替え後の値動き)、EUDRへのインスタントコーヒー追加という規制動向、そして世界各地でのコーヒーチェーンの資金調達・再編・破産といった経営面のニュースが目立ちました。来週は、9月限に切り替わったアラビカ相場の反応や、エチオピアの増産計画に対する市場の受け止め方、国内の夏季限定メニューの追加情報などが注目されます。編集部では引き続き、国内外のコーヒー業界の動きを継続してウォッチし、皆さまの豆選び・お店選びに役立つ情報をお届けしていきます。産地による味わいの違いが気になる方はコーヒーの産地・品種完全ガイドも参考にしてみてください。
